【校長室通信】イチローの55歩(5/2)
みなさん。こんにちは。
今回は、最近、読んだ本の中に「なぜ、ルーティンは、大切なのか。」という記事が載っていて、とてもこころに残りましたので、この場をお借りして、みなさまにご紹介させていただきたく思います。
それはイチロー選手のお話です。
イチロー選手の言葉に「『普段の自分』でいることが僕の支え」というものがあるそうです。
彼は現役の時、ヒットが出るから好調、ヒットが出ないから不調…というのでは、一流ではない、と常に言っていました。不調なのは、ヒットが出ない感覚をその打席で終わらせられないこと、つまり、失敗を引きずることだというのです。
そうならないために、彼はいつも平静、冷静でいられる「普段の自分」を保つ努力を欠かしませんでした。
イチロー選手の試合のビデオ映像を注意深く確認すると、あることに気づきます。バッターボックスに入って構えるまでの一連のセレモニーは、あまりにも有名ですが、驚嘆するのは、それ以外のすべての所作も同じであることです。
例えば、試合開始で守備につくとき、ベンチから飛び出してきた彼は、必ず19歩から20歩目でファールラインの白線を越えます。そして自分の守備位置、ライトをめざすのですが、いつも40歩目で走りを緩め、それから15歩歩いて守備位置につきます。
イチロー選手自身は、このルーティンについて詳細なことは語っていませんが、彼はこの約束事を厳格に守ることで「いつもの自分である」ことをセルフコントロールしているのではないでしょうか。
対して自分自身の生活を顧みてみると失敗したときに常にいろいろなことに責任転嫁してしまう自分に気がつきます。「今日、スピーチで失敗したのは、昨日睡眠不足だったからだ。」とか「友人と喧嘩してしまったけど、相手が機嫌が悪かったからだ。」とか。
失敗を他人や環境のせいにしてしまうことは簡単ですが、そうすることで真に反省する機会を失し、また失敗を積み重ねてしまう…。自分の人生を振り返ってみるとそんな愚かしさの繰り返しです。
イチロー選手のようには、とてもなれませんが、これからは、せめて失敗してしまったときに、その原因を他に求めるのではなく、自身に返せる、そんな強さを育てていきたいものだ…と改めて思ったひとときでした。